「マンションに住んでいるのですが、自宅葬はできるでしょうか」。
このようなご相談をいただくことは、決して少なくありません。
結論から申し上げますと、集合住宅であっても自宅葬を行うことは可能です。ただし、一戸建てとは異なる確認事項がいくつか存在します。状況によっては別の選択肢を検討した方が、ご家族の負担が少なくなる場合もあります。
ここでは、集合住宅で自宅葬を行うために確認しておきたい項目を整理しました。
1. 搬入経路の物理的な広さ
最も重要なのは、故人様をお連れするための経路です。具体的には、以下の場所の広さや形状を確認します。
エレベーターの有無と広さ
ストレッチャー(移動用のベッド)や、お棺が入る広さがあるかが一つの基準になります。奥行きが足りない場合でも、ストレッチャーから搬送用布団を外し抱きかかえて移動することで対応できることがあります。また、一部のマンションのエレベーターには、奥に「トランクルーム(扉を開けると奥行きが広がる構造)」が備わっている場合もあります。
階段や共用廊下の形状
エレベーターがない場合や、サイズが足りない場合は、階段を使用することになります。その際、階段の幅や踊り場で方向転換ができるかどうかがポイントになります。玄関前の共用廊下の幅も、お連れする際に必要なスペースとなります。
これらの判断は難しいため、私たちが事前に経路を確認させていただくことも可能です。
2. 管理規約の確認
マンションやアパートの場合、建物の「管理規約」を確認しておく必要があります。
多くの集合住宅では、ご自宅でのご安置や小規模なお葬式自体が禁止されていることは稀です。しかし、一部の物件では「専有部分(ご自身のお部屋)での葬儀や、不特定多数の出入りを禁止する」という規約が設けられている場合があります。
また、規約で禁止されていなくても、管理組合や大家さんへ事前にお知らせしておくことで、当日の人の出入りについて理解を得やすくなります。
3. ご近所の方への配慮
集合住宅は、壁一枚や扉一枚を隔てて他の住人の方が生活されている環境です。そのため、一戸建て以上にご近所への配慮が大切になります。
- 音への配慮: 読経の際の声の大きさや、ご親族が集まった際の話し声などに気を配る必要があります。
- 共用部分での振る舞い: エレベーターや廊下などで他の住人の方とお会いした際の配慮や、人の出入りが集中する時間帯への配慮が必要です。
トラブルを避けるためにも、両隣や上下階の方には、事前に「家族だけで静かにお見送りをすること」をお伝えしておくことをお勧めしています。
4. 駐車スペースの確保
ご親族が集まる際の、お車の駐車場所についても検討が必要です。
来客用の駐車場がある場合は、管理組合等へ利用の申請を行います。来客用駐車場がない場合は、近隣のコインパーキングなどを事前に探しておき、来られる方にお伝えしておくとスムーズです。
ご自宅でのご安置が難しい場合の選択肢
搬入経路の都合や規約の問題で、ご自宅でのご安置やお葬式がどうしても難しいケースもあります。
その場合は、専用の安置施設でお預かりをし、お別れの時間を別の場所(提携の斎場など)で過ごしていただくという方法もあります。「自宅で見送れないから」と無理に諦める必要はなく、状況に応じた柔軟な選択肢をご提案いたします。
この記事に関連するよくあるご質問
- エレベーターが狭いマンションでも自宅葬は可能ですか?
- ストレッチャー(移動用ベッド)がそのまま入らない場合でも、専用の移動用布団を用いて抱きかかえる形でお連れするなど、いくつかの方法があります。事前に私たちが経路を確認して、可能な方法をお伝えいたします。
- マンションの管理組合や大家さんへの報告は必要ですか?
- 管理規約で禁止されていない場合でも、事前にお知らせしておくことをお勧めしています。人の出入りについてあらかじめお伝えしておくことで、無用なトラブルを防ぐことにつながります。
- 近隣の方への挨拶は、どの範囲まで行えばよいでしょうか?
- マンションやアパートなどの集合住宅の場合は、両隣と上下階の方へ事前にお声がけをしておくのが一般的です。「家族だけで静かに見送ること」をお伝えする際の具体的なアドバイスも行っております。
- 読経などの音は、近所迷惑になりませんか?
- 集合住宅であることをお寺様にも事前にお伝えし、読経の声や木魚の音量を控えていただくようお願いすることができます。ご不安な場合は、お打ち合わせの際にご相談ください。
- どうしても自宅に安置できない場合はどうなりますか?
- 搬入経路や規約の都合でご自宅へのご安置が難しい場合は、専用の安置施設をご案内いたします。状況に合わせて、ご家族にとって無理のない選択肢を一緒に考えていきます。
