「お父さん、やっと家に帰ってこれたね。おかえりなさい」
病院や施設でのご療養を経て、無事にご自宅へお連れできたとき、ご家族から自然とこぼれるこの言葉。住み慣れたお部屋のお布団に故人様を寝かせて差し上げた瞬間、ご家族の皆様もどこかホッと肩の荷が下りたような、穏やかな表情をされることがよくあります。
ご自宅に安置している間、「お線香の火を絶やさないようにしなきゃ」「静かに過ごさないといけないのかな」と気張ってしまう方もいらっしゃいますが、実は特別な決まりはありません。
今回は、自宅葬ならではの「安置中の温かい過ごし方」についてお話しします。
1. 特別な儀式よりも、「いつもの日常」の延長として
葬儀会館の安置室とは違い、ご自宅は故人様にとって最もリラックスできる場所です。
「お葬式が始まるまでの間、どうやって過ごせばいいのだろう」と難しく考える必要はありません。生きている時と全く同じように、ご自宅での「いつもの日常」を一緒に過ごしていただくことが何よりの供養になります。
お茶を淹れるときは故人様の分も用意してお供えしたり、ご家族でご飯を食べるときは「お母さんの分もここにあるよ」と声をかけたり。無理に静まり返る必要はなく、いつもの生活音の中で過ごしていただくのが一番です。
2. 五感で感じる、ご自宅ならではの安心感
ご自宅での安置中は、ぜひ「五感」を意識して過ごしてみてください。
- 聴覚: 故人様が好きだったテレビ番組やラジオを、いつも座っていた場所で流してあげる。
- 嗅覚: 台所から漂うお味噌汁やご飯の炊ける匂い、お庭の金木犀の香りなどを感じてもらう。
- 触覚: そっと手を握ったり、お顔に触れたりして、ご家族の温もりを伝える。
こうした日常の音や匂い、そしてご家族の気配に包まれることで、故人様も「あぁ、やっと自分の家に帰ってこられたんだな」と安心されているはずです。
3. どんな言葉をかければいい?
「亡くなった方に、なんて声をかけたらいいのか分からない」という方もいらっしゃいますが、立派な挨拶は必要ありません。
朝起きたら「おはよう」、夜寝る前には「おやすみ」。
「今日はお天気がいいね」「お孫さんが会いに来てくれたよ」と、その日の出来事を報告するだけで十分です。
ご生前には照れくさくてなかなか言えなかった「今までありがとう」「お疲れ様でした」という感謝の気持ちも、ご家族だけしかいないご自宅の空間であれば、素直な言葉として伝えやすいのではないでしょうか。
4. 悲しみを我慢せず、思い切り泣ける場所
そして、ご自宅での安置期間における最大のメリットは「人目を気にせず、思い切り感情を出せること」です。
葬儀会館のように、スタッフや弔問客の出入りに気を遣って気丈に振る舞う必要はありません。
悲しいときは、お布団のすぐ隣に座って、声を上げて泣いても構いません。涙を流すことは、大切なお別れのプロセスのひとつです。時間に追われることなく、ご自身の感情のままに故人様と向き合える時間が、ご自宅にはあります。
まとめ:ゆっくりと「お別れの準備」をするための時間
ご自宅での安置期間は、ただお葬式の日を待つための時間ではありません。
ご家族が故人様との思い出を振り返り、言葉を交わし、心を整理しながら、少しずつ「お別れの準備」をしていくための大切な猶予(時間)です。
HFFクマモトは、ご家族がこのかけがえのない時間を心穏やかに過ごせるよう、お体の保全や裏方のサポートをしっかりと行います。「ただいま」「おかえり」が言える温かいご自宅で、どうか後悔のないお別れの時間を過ごしてください。
この記事に関するよくある質問
Q.自宅での安置中、夜通し起きておく必要はありますか?
A.いいえ、夜通し起きておく必要はありません。ご自宅ではいつもの生活音の中で過ごしていただくのが一番の供養になりますので、ご家族も無理をせず普段通りにお休みください。
Q.安置中、故人様にどんな言葉をかければいいですか?
A.立派な挨拶は必要ありません。朝の「おはよう」や夜の「おやすみ」、その日の出来事を報告するなど、ご生前と同じように日常の素直な言葉をかけてあげてください。
Q.葬儀会館ではなく自宅に安置するメリットは何ですか?
A.スタッフや参列者の目を気にせず、悲しい時に思い切り涙を流せることです。時間に追われることなく、ご自身の感情のままに故人様と向き合い、ゆっくりとお別れの準備ができます。
